望月 MOCHIZUKI

作者  不明

時  一月

場所 近江国(今の滋賀県)の山守の宿

登場人物

能面装束
前シテ小沢刑部友房
後シテ小沢刑部友房
ツレ安田友治の妻深井
子方安田友治の子 花若
ワキ望月秋長
アイ望月の下人

あらすじ

小沢刑部友房(シテ)は、かつて安田友治に仕えていたが。安田友治は、望月秋長(ワキ)と口論の末に殺されてしまった。小沢刑部友は、安田友治亡き後、近江国守山で「甲屋」という宿を営んでいた。

そこに、ある母子が泊まりにくる。この母子は、偶然にも友治の妻(ツレ)と子(子方 花若)で、友治亡き後、流浪の旅に出ていた。友房と母子は再会を喜ぶ。

そこへ、宿を探していた望月秋長(ワキ)が、下人(狂言)を連れてやってくる。下人が、宿の主人である小沢刑部友房(シテ)に、宿を借りたいと言うと、「名前は?」と聞かれ、望月秋長(ワキ)に名前を名乗らないように言われていたが、つい「望月・・・」と口を滑らしてしまう。友房は、自分がかつて仕えていた安田友治を殺した望月秋長だと気づく。そして、母子にそのことを伝え、仇討ちの策を練る。友房(シテ)は、友治の妻を盲御前に仕立て、子の花若と供に、酒宴の席につく。

目の前にいる望月秋長(ワキ)をみて、気持ちが昂ると(気持ちを表すように、お囃子も激しくなってきます)、子の花若が、思わず、「いざ、討とう!!!!」と言ってしまう。

それを聞いた望月秋長の下人が騒いだので、友房(シテ)が「なぜ騒いだのか?」と聞くと、下人は「『さぁ討とう!』と言ったのからだ」と答える。小沢刑部友房が、「『討とう』ではなく、『(八撥で)打とう』と言ったのですよ」と、ごまかす。下人が、望月秋長に、「この幼い人が八撥を打つのだそうです」と伝えると、望月秋長は、「はやく打たせなさい。それで、亭主は何か芸はないのか?」と聞く。すると、子の花若が、「亭主に獅子舞をご所望ください。」と答える。秋長は、獅子舞を舞うように友房に言う。友房は、ご依頼なので、舞ってみると言い、獅子頭を着けてくるので、その間にこの幼い人に八撥を打たせると言って、その場を去る。

(中入)

花若が鞨鼓を舞ったあと、獅子の恰好をした友房が酒宴の席に戻ってくる。楽しくお酒が進んだ秋長は、酒に酔い、寝てしまう。仇討ちの時がきた。ついに、友房と花若は、望月を討つことができたのだった。

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