作者 世阿弥
時 3月
場所 備前国(岡山県)藤戸
出典 平家物語
登場人物
| 役 | 能面 | 装束 | |
| 前シテ | 漁師の母 | ||
| 後シテ | 漁師の霊 | ||
| ツレ | – | ||
| 子方 | – | – | – |
| ワキ | 佐々木盛綱 | ||
| ワキヅレ | 盛綱の従者 | ||
| アイ | 盛綱の下人 |
・あらすじ
佐々木盛綱(ワキ)は、藤戸(岡山県倉敷市)の海峡を馬で渡れる浅瀬の場所を、漁師(後シテ)から聞き出した。それにより、盛綱は戦いの先陣の功をつかみ、備前國の兒島を褒美にもらうことができた。
しかし、盛綱はこのことを、漁師が他の人に話してしまうのではと思い、この漁師を殺して海に沈めてしまう。
その後、盛綱がこの地を訪れた時、領民の声を聞こうと、訴状のあるものは何でも言ってきなさいと言う。すると、漁師の母(前シテ)が『自分の子を殺すなんて酷いじゃないか』と訴える。盛綱は、シラを切っていましたが、漁師の母のあまりに辛そうな様子に、その当時の様子を語りだし、最後に漁師の弔いをすることを誓い、下人に家まで送るように命じる。
弔いを営んでいると、漁師の霊(後シテ)があらわれ、盛綱に浅瀬を教えたので、どんな褒美でももらえると思ったのに、殺されるなんて、、、と我が身の不運を嘆き、復讐しようとします。しかし、思わぬ弔いを受けて、成仏の身になったと告げ、消え失せる。
漁師は、秘密漏洩を恐れて殺され、復讐しようとするが、思いがけず弔ってもらって、成仏した。
参考:能・狂言事典
続・まんが能百番
